公開日:2019/02/15
ベトナム北部・サムソン市でテト(旧正月)を体験
タインホア省サムソン市の家庭にホームステイしているYujiです。サムソン市はベトナム北部に位置し綺麗なビーチを有する観光都市です。2019年はホストファミリーとともにサムソン市でテトを迎えることができました。ベトナムは太陰暦を採用していて、その正月をテトと呼んでいます。 テトの元旦は新暦の1月21日から2月19日の間にあたります。日本では太陰暦は明治の初頭まで使われていたこともあり旧暦と呼ばれ、またその正月は旧正月と呼ばれていますね。テト中には実家に帰ってしまうベトナム人が家で何をしているのかお伝えします。
大晦日までは準備で忙しい
大晦日までは掃除やテトの飾り付け、テトの料理の準備をしていきます。掃除は日本の大掃除と似ています。飾り付けは花を飾ったり、イルミネーションを家や木にあしらったり、果物盛を棚に置いたりします。テト期間では街中に花が売られていて旗が上がっているので街を歩けばすぐにわかります 。
ホストの家には池があり食用の魚を飼育しています。テトで大量に魚を食べるのであらかじめ家の男総動員で捕獲して小さい池に移しておきます。私は参加しませんでしたが網を使ったかなり骨の折れる労働です。また、テトの料理と言えば四角い甘くないチマキのバインチュンです。材料はもち米、緑豆、豚バラ。それをバナナの皮で四角く包んで縛り、半日庭の鍋で煮ます。柔らかく美味しくて日持ちします。
大晦日にはタインホア市へ買い出しに行きました。都会とは言えないサムソン市には大型スーパーがありません。スーパーの窓ガラスには来年の干支の大きな豚のシールが貼られていました。日本では2019年は猪年ですがベトナムでは豚年です。十二支は中国に起源があり中国式では豚が正しいです。十二支が日本に導入された当時、豚があまりポピュラーではなかったため猪となったそうです。他にも日本が羊の時に中国はヤギだったり、日本が兎の時にベトナムは猫です。それからタインホア市で昼ごはんも済ませて家に帰りました。
夕方にはホストファミリーの長女の家から、正月のカラオケ用の巨大スピーカーが運ばれました。ここのベトナム人はカラオケが大好きです。夜10時を超えていてもどこからかカラオケが聞こえてきます。玄関全開で丸聞こえです。ベトナムではうるさいことはあたかも良いことのように感じます。そんな人の家から聞こえてくるナンバーの中に何回も流れているキャッチーな曲があります。調べたところNgười tình mùa đôngという曲でした。なんとこの曲、ちあきなおみの「ルージュ」という曲のベトナム語カバー。元はというと中国語のカバーで火がついて東南アジアまで飛び火したそう。アジアに行く際は、他にも人気の「北国の春」「上を向いて歩こう」と共に覚えておくと何かの助けになるかも。
年明けはやっぱり盛り上がる
大晦日の夕食を食べ終わるとカウントダウンに備えて動きます。カウントダウンは家族が着飾って集まりまるので、一人ずつシャワーを浴びて着替えます。親戚の一人はスーツを着ていました。着る服に関しては、毎度のこと男性陣よりも女性陣の方が気合が入っています。ホスト一家の次女は試着を繰り返していました。お年玉も用意しないといけません。ベトナムでもお年玉はあるのですが、老若男女関係なくみんながみんなに配ります。私も参加させてもらいましたが私を含めた人数が8人だったので7人分のお年玉を用意しないといけません。ポチ袋をもらって一つ5万ドン(250円)程度お金をいれました。別に裸のお金でも新札でなくても大丈夫です。
カウントダウン前には市の放送で注意事項が流れます。焚き火はしないようにとか飲酒運転をしないようにとか言っているらしいです。年の最後はみんなで集まって日本と同じようにテレビを見ながらカウントダウンです。音楽番組もあれば吉本新喜劇のような番組もありました。カラオケ大好き長女は空いた時間でカラオケをしていました。カウントダウンをして年が開けると新年を祝います。まずはみんなで輪になってお年玉交換です。新年おめでとうと言いながら一人ずつ渡していきます。赤ちゃんからはお菓子のお年玉をもらいました。お年玉交換後は写真撮影してから夜の宴を開きます。夜の宴を含めると1日4食食べることになります。私はその宴があることを知らず、夕食をがっつり食べてしまったのであまり食べられませんでした。
鳥の丸焼きなど豪華料理を食べて、ビールを飲んで、デザートにスイカを食べてワイワイガヤガヤ。スイカは縁起がいい食べ物らしいです。私は一通り食べ終わると食器洗いは残りの人に任せて寝てしまいました。私が泊まっているホストファミリーで皿洗いを手伝おうとするといつもダメだと言われます。ベトナムでは女性しか皿を洗わないとのこと。その分、家の重労働は男が行うので釣り合いは取れているのでしょうか?男女差の是正もしくは食洗機の早期普及を望みます。
元旦からはたくさんの親戚めぐり
次の日は朝ごはんを食べると親戚めぐりです。ホストファミリーのご厚意で私も同行しました。元旦は父方の親戚を5件程度回ります。 母方の親戚はタインホア市に住んでいるらしく、そちらの方は元旦の翌日に行きます。元旦は父方の親戚、翌日は母方の親戚、翌々日は友達と会うのが文化らしいです。訪問の際には赤ちゃんまでアオザイを着ていて豪華です。
親戚の家につくと、 挨拶をして家に入ってご先祖様にお線香をあげます。大体の家にかなり大きなスペースのご先祖様を奉る棚があります。それから席について軽いおやつを食べながら親戚と5分程度お話します。飲みたければ朝からお酒を飲んでも大丈夫。一軒一軒の滞在時間は少ないのですが、行く先々でお菓子やらお茶やらをもらうのでお腹が常にいっぱいです。しかし食べないとその年その親戚に不幸が訪れるらしいので食べざるを得ません。気がついたのは親戚と親戚の家がとても近いことです。どの家の間も徒歩数分程度なので短時間で親戚めぐりが可能です。今の若い世代はどうかわかりませんが、親世代は生まれた土地から離れることなく土地に根を下ろして暮らしてきたのだなと実感します。お年玉は親戚の家ではあげるもあげないも任意らしいです。
日本のように初詣にも行きます
全員の家をめぐった後はĐền Cô Tiênと呼ばれる寺に初詣に行きました。寺といっても仏教寺ではなく昔話の女性にちなんだ寺です。Cô Tiênは女の妖精という意味があるのですが、昔話も考慮した上で訳すならば「天女寺」です。ネットで探してもこの神社に関する日本語の記述がなかったのでそう呼ぶことにします 。天女寺はサムソンビーチ南側の山をバイクで少し登ったところにあり、恋愛成就の寺ということもあり若い人が多く来ていました。 ホスト一家の両親は初詣に行っていなかったので日本ほど重要視されていないのかもしれません。寺は海沿いの崖の上にあるので眺めは最高です。
しばらく参拝をしてからビーチに向かって延びた階段を下ります。砂浜に着くと絶好の撮影スポットがあります。一眼レフを持った人もちらほら見えます。私としては寺本体よりも撮影スポットの方に惹かれました。ちょうどホストファミリーの長男がいいカメラを持っていたのでそこで撮った写真を後でもらいました。アオザイを着たモデルは次女です。天女寺近くのサムソンビーチでは写真集のようないい写真が撮れます。
結論、日本人とやっていることは同じ
家に帰ると親戚が10人ぐらい来ていました。人がたくさんいて覚えられませんでした。その人たちとご飯を食べて記念撮影すると、その人たちとはお別れ。それからも三々五々親戚がやって来て、お茶とお菓子でもてなして、お話しします。夕食を食べ終わるとほぼ元旦は終わりです。元旦はずっと人に会って、その人たちと飲んで食べて騒ぎ続けていました。結論として、ベトナム人と日本人が正月にやっていることは基本的には一緒でした。寝る前はYoutubeに上がっているカラオケ動画でカラオケをします。うっかりしているとカラオケオーディオシステムに私のパソコンが組み込まれてしまいました。
寺名: Đền Cô Tiên (天女寺)
住所: P. Trường Sơn, Sầm Sơn, Thanh Hoa
Quick Vietnam インターンYuji