公開日:2020/08/28
ベトナムの七夕は恋愛成就祈願の日?小豆を食べて恋愛運アップ!
ベトナムの七夕物語
実はベトナムにも七夕の行事があります(ベトナム語で “Lễ Hội Thất Tịch”)。ですが旧暦の7月7日のため、日本と祝う日が異なります。2020年の旧暦7月7日は新暦8月25日に当たりました。
七夕は中国由来で、その後日本やベトナム、韓国など、周辺のアジアの国々に広がったと言われています。七夕にまつわるストーリーは、天界のある女性と、人間界の男性が恋に落ちますが、天の偉い人の怒りに触れて離れ離れになり、年に1回7月7日だけ会うことを許されるようになった、というものです。
大まかなストーリーは上記の通りですが、細かい話の展開はバラエティに富んでいます。ベトナム国内でもいくつかありましたが、今回は私が調べた中の一説をご紹介したいと思います。※日本では織姫、彦星の名前で知られている伝説は、ベトナムではチュック・ヌー(日本でいう織姫)、ニュー・ラン(日本でいう彦星)という名前になります。
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チュック・ヌーは天界の者ですが人間界に来た折、貧しい牛飼いのニュー・ランと出会い、恋に落ちます。チュック・ヌーとニュー・ランは人間界で結ばれて幸せに暮らしていましたが、チュック・ヌーの父親は娘が帰ってこないことに気づき、天界に連れ戻そうとし、人間界と天界の間に境界として川(日本でいう天の川)を作りました。人間界に残されたニュー・ランはその後もチュック・ヌーのことを待ち続け、それを見たチュック・ヌーの父親は哀れに思い、年に1回、7月7日のみ二人が会うことを許しました。この時期、ベトナムは雨季で大雨が降りますが、それは再会を喜ぶ二人の涙で、7月7日の夜に二人を見たカップルは永遠に一緒になれると言われています。
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ベトナム旧暦七夕のお祝いと小豆
※写真は小豆トッピングのシュークリーム。七夕イベントで、デリバリーアプリで25%割引。
ベトナムの七夕では、小豆を食べる文化があります。そして小豆を食べることで、シングルの人は恋人ができ、カップルは交際が長続きすると言われています。
なぜ旧暦の七夕に小豆を食べるのか?その理由ははっきりとは分かっていません。(前述の物語の中でも、二人が小豆を食べている形跡はありませんでした)ベトナムのサイトで調べたところによると、理由は2つ考えうるとのことです。1つ目は、小豆の色(赤色)は幸運を意味すること。2つ目は、小豆は体を温めるので、雨季で体が冷えるこの時期(旧暦7月7日は8月中旬頃にあたり、ベトナムは雨季で雨がよく降ります)に合っているということです。小豆は縁起が良くこの時期にちょうど良いことは分かりましたが、それと七夕の結びつきは分からず、ベトナム人の知人10名ほどに聞きましたが知っている人はいませんでした。日本では七夕の時に短冊を吊るすように、いつの間にかベトナムでは小豆を食べることが七夕の行事となったのかと推測しています。
※写真は雨季のベトナムで、車中の窓から見た豪雨。歴史的豪雨で道に川が出来、立ち往生していました。
現代のベトナム七夕の過ごし方
※上の写真はデリバリーアプリの七夕特集ページ。「シングルからおさらば!」という意味で、“デリバリーで小豆料理を買って食べて、恋人を作ろう!”というメッセージのようです。なぜ寿司やチキンがあるのかは謎。
七夕の時に食べる小豆料理は、小豆茶や小豆のお汁粉が伝統的なようですが、現代ではベトナムで人気のミルクティーやチェー、その他小豆が使われたお菓子を食べる人が多いようです。デリバリーアプリでは七夕特集も行われ、小豆関係のジュースやお菓子がセールになっていました。この時期限定で小豆商品を販売している店舗もちらほら。
弊社内でも、たまたま男性社員が「今日は七夕だから小豆が安い」と言って、デリバリーで買った小豆餡のお餅を食べているぐらいでした。ホーチミン市内でも七夕の大々的なお祭りやお祝いの様子はあまり見ず、女性の日やバレンタインほどベトナムではメジャーではない印象を受けます。
ベトナムは日本と異なり年間を通して暑いため、慣れない頃は季節の移り変わりやイベントに気づきにくいかと思います。ですが実はベトナム独自の行事、外国由来でも独自の発展を遂げた文化も多くあるので、ぜひベトナム文化の一環としてそれらイベントを楽しんでみて下さい。