公開日:2019/03/29
ダナン名物ばあちゃんのミー・クワン(Mì Quảng) ~看板猫もくつろぐBún Bà Hoàn~
母方の祖母が94歳の大往生を遂げたのが17年前のことでした。それからというもの「ばあちゃん」という呼び名を口にすることがなくなった私に、その名を再び呼ばせてくれたのがダナンばあちゃんです。今回は、そのダナンばあちゃんに会える店【Bún Bà Hoàn】をご紹介させていただきます。
おすすめは何といってもミー・クワンです。いわゆる「ぶっかけきしめん」「伊勢うどん」に驚くほど似ているこのダナンの名物料理は、ダナンがちょうどベトナム中部に属していることともあいまって、安易とはいえ「ダナン=名古屋説」を提唱したくなる逸品です。
ダナン名物ミー・クワンを食べてやろう
それだけは心に決めていた私は、ダナンに渡った翌昼に中心街のNguyễn Văn Linh通りをさまよい歩いておりました。あちらこちらに食堂と思しき店がありましたが、旅行も含めて外国へ行った経験のなかった私にとっては、どの店へ入ればミー・クワンが食べられるのかまったくわかりませんでした。それ以前に、目に映るすべてのものは珍しいと同時に完全アウェイであり、心細いというようなレベルではありませんでした。そんなときに視界に入ってきたKFCが頼もしく、思わず足を踏み入れそうにはなりましたが、(いや、やはりそれは違うだろう)と思いとどまり、Nguyễn Hoàng通りを北上したところ、年季の入った食堂の店頭で大鍋を煮込んでいたダナンばあちゃんに遭遇したのでした。
「ミー・クワン?」
思わず声をかけたのは、ダナンばあちゃんがあまりにも私の祖母と似ていたからだと思います。見た目がというのではなく、「おばあちゃん」でもなく「ばあちゃん」としか呼びようのない、無条件に親近感を抱かせるなにかがそこにはありました。かといって、いくらなんでも初対面の相手にばあちゃんと言うのもなんでしたので、それが私をして「ミー・クワン?」と問いかけるのに落ち着かせたのでしょう。
ダナンばあちゃんは素っ頓狂な声を出した外国人に対して驚くわけでもなく、「ミー・クワン」と頷きました。それが、なにかこう、とてもよくて、気が付けば私は店の中に入っていたのでした。
ミー・クワンがやってきた
ばあちゃんの店のミー・クワンは、本当にもう驚くほどきしめんに似た平打ち麺に、店頭の大鍋で骨ごとブツ切りにされた鶏肉を煮込んでとられたツユがかけられていました。そして麺の上には、ダシ役として使われたと思しき鶏肉にピーナツがまぶされていました。さらに、揚げ春巻きが添えられていたのがニクかったです。同時に、たくさんの生野菜が盛られた器が出されました。
どれどれとミー・クワンを口にしてみたところ、麺の触感はきしめんそのもの、ツユはといえば甘辛い醤油味の、日本で口にしてきた蕎麦うどん系統の麺ツユにそっくりの味わいでした。私は美味いうまいとミー・クワンをむさぼるように食べていました。麺を半ば平らげたところで生野菜を投入して卓上に置かれていた柑橘類(レモンかライム)を絞りかけたところ、これがまたさっぱりして美味しく、気が付けばツユまですべて平らげていました。
汗にまみれながらも大いに満足し、卓上セルフサービス(無料)のジャスミン茶でのどを潤していたところ、猫がいることに気づきました。外から来たのか飼われているのか定かではありませんでしたが、「好きにするよ」というかのように猫は悠々と店内を歩き、また店内の人々は「好きにしろよ」という感じで猫を気にもしませんでした。それがもう、なんともいえず私には気持ちよく感じられたのでした。
激安のミー・クワン一杯20,000VND(約100円)!
衝撃の支払いを終えたその次の日から、昼はダナンばあちゃんの店でミー・クワンを食べるというのが私のルーティンになりました。そのうちダナンばあちゃんは笑顔で私を迎えてくれるようになり、私はわたしで「ばあちゃん、来たよ」とあいさつするようになったのでした。
以上のような人情噺的な側面も確かにありましたが、それにしても私が通ったのは、ダナンばあちゃんのミー・クワンが美味しいと感じていたからです。最も好きなのはダナンばあちゃんの店です。行かなくて損をするということはありませんが、行けば大満足が得らえると断言させていただきます。ダナンで食べる一杯目のミー・クワンは、ダナンばあちゃんのミー・クワンで間違いありません。
店名:Bún Bà Hoàn
住所:152 Nguyễn Hoàng, Nam Dương, Thanh Khê, Đà Nẵng 550000 ベトナム
営業時間:6:00‐19:30(基本的に毎日営業)
Quick Vietnam インターンShin