公開日:2026/08/07
ベトナムにも「お盆」がある?― ベトナムの「ヴーラン祭(Vu Lan)」とは

ベトナムでは旧暦7月15日に、日本のお盆にあたる伝統行事「ヴーラン祭(Vu Lan)」が行われます。この日は先祖を供養するだけでなく、両親への感謝を伝える「親孝行の日」としても大切な日となっています。2026年のヴーラン祭は、新暦の8月27日(木)です。今回は、仏教に深く根ざしたヴーラン祭の由来や、ベトナム独自の風習、日本との違いについてご紹介します。
ベトナムのお盆「ヴーラン祭」とは
ヴーラン祭は、テト(旧正月)と並ぶ重要な祭りとされています。その由来は、お釈迦様の十大弟子の一人である目連(もくれん)が、神通力を使って地獄(餓鬼道)で苦しむ母親を救ったという仏教の説話に基づいています。
この物語から、亡くなった先祖を偲ぶとともに、両親へ感謝の気持ちを表す「報恩」の日とされてきました。ベトナムの人々にとって、家族の絆を再確認し、自身の徳を積むための大切な一日です。
日本のお盆との共通点・違い
日本とベトナムのお盆は、どちらも「目連救母」の説話をルーツに持ち、先祖の霊を迎えて供養するという点では共通しています。一方、過ごし方にはいくつかの違いがあります。
「母の日」としての側面:ベトナムではヴーラン祭を「親孝行の日」とし、両親への感謝を大事にします。
寺院への参拝:日本では自宅での供養やお墓参りが中心ですが、ベトナムでは自宅での供養のほか、家族連れなど多くの人々が寺院へ出向いて祈りを捧げる姿が見られます。
無縁仏への供養:ベトナムでは、帰る家がない「無縁仏(餓鬼)」のために、家の外で粥や塩、米を供える「施餓鬼 (Cúng chúng sinh)」という習慣が広く行われています。この習慣は、家の外のほか、お店や企業のオフィス前などでも広く行われており、この時期になると周囲から線香の匂いが漂ってきます。

(昨年、当社での様子。オフィスの「外側」にお供え物をします)

(一人一人お線香をあげてお参りします)
この時期に見られるベトナムならではの風景
ヴーラン祭の時期、街中や寺院では、独自の景観が見られます。
• 胸にバラの花をつける儀式
母親が健在な場合は赤いバラ、他界されている場合は白いバラを胸に飾り、親への愛と追慕を表します。なおこれは、1960年代に禅僧ティク・ナット・ハン師 が日本での経験をもとに提唱し、定着した習慣だそうです。
• 「あの世のお金」を燃やす
亡くなった人があの世で不自由しないよう、紙で作られた お金(冥銭)や衣服、車などの模型を燃やす光景が各地で見られます。
• 精進料理を食べる
殺生を避けるため、この時期は多くの人が精進料理(菜食)を食べ、レストランも菜食メニューで賑わいます。
• 灯籠流し
夜には川にランタン(灯籠)を流し幻想的な雰囲気のなか、家族の健康や先祖の成仏を祈る姿が見られます。
最後に
ベトナムのヴーラン祭は、先祖を敬い供養するという点で、日本のお盆と共通する大切な行事です。一方で、両親への感謝や親孝行を表す日としても大切にされている点は、ベトナムならではかと思います。
同じ仏教文化を背景に持ちながらも、それぞれの国で異なる形に発展した伝統や文化を知る事で、その国の人々の考え方や価値観、文化への理解を深めるきっかけになるのではないでしょうか。










