公開日:2021/07/16
ベトナムにおける化粧品に関わる規制の概要(後編)
表記・広告に関する制限について
1. はじめに
前回に引き続きベトナムにおける化粧品に関わる規制の概要を記します。
今回は後編として、化粧品のラベル表示や広告に関する規制について説明していきます。
前回の記事については下記からお読み頂けます。
URL:https://919vn.com/column/outline-of-regulations-related-to-cosmetics-in-vietnam-part-1/
2. 化粧品の表示
1)商品の表示に関わる一般的な規制
商品のラベルには、ベトナム語で商品の名前、責任主体の名前と住所、生産国、その他個別法令に規定されている事項(各商品の性質に合わせて)を記載しなければならないと規定されています。ただし、物質名やその他の固有名詞等についてベトナム語に該当する表記が無い場合はラテン文字を使用しての表記が可能です(政令第43/2017/ND-CP号(以下「政令第43号」といいます)第7条)。
また、国内製品と輸入製品でやや異なる規制が存在します(同政令同条第2項・第3項)。
① ベトナム国内で生産される製品
ベトナム語とは別に多言語での表記が可能です。ただし、ベトナム語と当該言語の意味は一致している必要があります。また、多言語のフォントの大きさはベトナム語のフォントの大きさを超えるものであってはなりません。
② 海外から輸入される製品
ベトナム語の表記がない、または十分な内容の表記がない場合、不足しているベトナム語の表記について追加する必要があります。元の表記(外国語)の内容は変更してはならず、ベトナム語の追記(翻訳)は、元の表記の内容と一致させる必要があります。
2)化粧品の表示に関わる規制
化粧品の表記についてはASEANによって定められる要件に適合するものでなければならず、製品名、効能、責任主体の名前と住所、使用説明、製造国、使用上の安全に関わる警告書等をラベルに表記する必要があります(政令06号第18条第1項。上記には一部のみ記載。詳細は法令をご確認ください)。
なお、標記は英語かベトナム語のいずれかで行うことが可能とされていますが、責任主体の名前と住所、使用説明、使用上の安全に関わる警告書等についてはベトナム語での表記が義務付けられています(政令06号第19条。なお、政令第06号は生産国については、ベトナム語での表記が必須とは規定していませんが、上記のとおり政令43号ではベトナム語の表記が必要とされているので、生産国についてもベトナム語で必ず表記しておくべきと考えます)。
3. 化粧品の広告に関わる規制
1)広告の承認
化粧品に関わる広告については、政令181/2013/ND-CP号(以下「政令181号」といいます)第12条第1項により、管轄当局から承認を得て行わなければならないとされています。
2)広告の内容に関する規制
① 政令181号第4条4項や通達09/2015/TT-BYT号第6条により、医師や病院の画像を用いる等して、当該化粧品を医薬品と誤解させる恐れのある広告は禁止されます。
② また、保健省の医薬品管理局の2012年2月10日付けレター第1609/QLD-MP号(以下「レター1609号」といいます)にも一部の広告表現が禁止されることが記載されています。
例えば、髪のケアに関する商品について“ふけを恒久的に除去する”、“毛細胞を復活させる”といった表現、スキンケアに関わる製品について“アレルギー反応を除去・軽減する”、“脂肪を燃やす若しくは除去する”といった表現、これらの表現を取ることは禁止されています(詳細は、レター1609号をご参照下さい)。
なお、レター1609号は恒久的な制限を規定したのものではなく、管轄当局の裁量により変更され得る旨が記載されていますので、規制の内容についてはその都度確認することが必要となります。