公開日:2018/06/01
企業として日本人現地採用(現地法人雇用)を実施するための留意点
日系ベトナム進出企業の多くは現地化(ローカライズ)を経営課題として考えています。
現地化の定義も多岐になりますが、多くは「商品」「製造」「営業(販売)」「開発」などのビジネスプロセスやサプライチェーンを現地で完結できるように事業推進させています。
現実的にはその推進責任者は「日本人駐在員」が担っている場合も多く、「人材」の現地化についてはなかなか進まない場合も多いです。何とか日本人駐在員が必死に業務推進させているのが実態かと思います。
もちろん日系企業各社はベトナム人管理者・マネージャー育成にも力を入れています。とは言え現状は日本本社への日本語レポート、日本人顧客対応、日系企業として日本人を象徴的にフロントで対応させたいなど「日本人」が対応した方が良い業務も多くあります。
現地化のあるべき姿は本社からの駐在員数を減少させる。現場では日本人が対応しなければならない業務が多いなど矛盾があります。
経費的にも駐在員は現地法人から考えると人件費が高い現実もあります。
上記課題を解決方法の一つとして日本人現地採用(現地法人雇用)が存在します。ご本人希望でベトナムを選択している日本人のため、現地化についての理解も深いです。
今回は日本人現地採用をする際の留意点をお伝えします。ベトナムでベトナム人を雇用する場合とは違いなどを理解してから現地採用を実施頂きたいです。
【労務管理や待遇面について】
1:ベトナム勤務希望や動機について
駐在員とは違い、ご自身の判断や希望でベトナム勤務を選択されています。
ベトナム就業理由も様々です。「奥さまやお子さまがベトナム人の場合でどうしても家族都合の為ベトナムで働きたい」「ベトナム語(英語)を活かしたい」「海外でとりあえず働きたい」などワークライフバランスを考えている方が多いです。
長期的にご活躍頂くための人事制度なども考えて頂く必要はあります。
2:滞在や就労の資格について
駐在員同様に外国人(日本人)の為、労働許可書、一次滞在許可書(レジデンスカード)の手配などのサポート業務が必要になります。
※代行業者に依頼すると500USD~1,000USD前後になります。
3:ベトナム国外からの渡航について
内定企業から招聘した商用ビザ(3ヶ月)での入国の準備が必要になります。
※※ベトナムでは入国目的の変更は認められていないため、観光ビザからでは企業が招聘した商用ビザ・レジデンスカードへの切り替えは認められていません。
※一般的には当該企業が招聘した商用ビザを一次滞在許可書(レジデンスカード)に切り替えています。
※ベトナム国内在住者転職の場合は前職でのレジデンスカード有無や滞在ビザ確認が必要になります。
4:医療保険について
ベトナム現地の医療機関ではベトナム語のみの対応も多く、日本人では通訳者がいない場合に一人で受診することも難しいです。※医療レベルについても不安な場合が多い。
ホーチミンにあるロータスクリニックやファミリーメディカルなど外資系医療機関での受診料はベトナムの医療保険対象では無く高額になり、現地で入れる医療保険を入れてあげると安心します。
5:帰国手当等について
在籍1年以上など条件をつけてもよいですが、年1回で制度として整っていれば喜ばれます。
※賞与や出張などの名目でカバーするとの考えかもあります。
6:その他
給与とは別に通勤手当、住宅手当、最初の渡航手当など各社により差はあります。※最初の渡航手当について1年以内に自己都合で離職した場合は個人負担させる場合などもあります。
【現地採用希望者(転職者)からの不安要素】
1:日本での年金について
→日本では強制加入の厚生年金が、現地採用の海外勤務の場合は任意で国民年金になります。任意で加入する場合は個人負担になり、国民保険料は月額約16340円程度にはなります。ベトナムからの送金は出来ない為、 日本帰国時に一括納付したり、ご家族に立替えて払いで納付している場合などもあります。
2:医療保険(日本の病院を受診する場合に)について
→日本の住民票を抜くと国民健康保険には加入できないです。住民票をそのままならば自己負担で国民健康保険に加入できますが、収入によって保険料は事なります。
※例:年収250万円で保険料は月額16524円になります。→月給2000USDぐらい
3:キャリアパス(キャリアアップの道筋)について
→将来の自分の職位(ポジション)や職務範囲の広がり、そのために必要な業務経験・スキルなどがわかりにくい等。将来への漠然とした不安が高いです。日本勤務の場合は待遇面などの収入も予想できるため目標や計画場が立てられる場合が多いです。
現地採用者には理解や安心頂くためにもしっかり説明する必要はあります。
4:仕事の責任範囲
→駐在員の管理者に集中して現地採用だと権限や責任が限定的になり仕事の幅が広がらないなど。責任のある仕事を任せてもらいたい場合とそうでない人もいます。
何ができる様になるとどんな仕事を任せられるかなどキャリアパスと同時に数年後の短期的な責任範囲なども説明しておいた方が安心します。
5:待遇格差
→同じような業務でも駐在員と現地採用者であまりにも格差が大きい場合に現地採用者から見ると嫌になる方も現実的には存在します。日本でも総合職採用と一般職採用や地域限定採用と転勤可能な総合職採用では待遇差があります。待遇に見合った責任範囲や業務難易度などを勘案しておくことが定着率には影響します。
以上が留意点かとは思います。
上記以外にも日本国内での中途採用でない為、採用期間は長くなりやすいです。
日本からの渡航準備期間や近年の日本は転職者有利(売り手市場)の若手採用については、多くの応募者が存在する訳ではないです。内定提示後に辞退される場合も存在します。
弊社は日本人紹介に特化した人材紹介会社になり、実績はベトナムTOPクラスになります。日本人の現地採用をご検討時には現地採用者の待遇、転職マーケット相場含めてお気軽にお問合せ頂ければと思います。