公開日:2019/03/29
ベトナム人事の基本⑦(ベトナム労働法上の有給休暇について)
今年2019年4月以降の日本では「働き方改革法」が順次適用開始になります。その中で「有給休暇」については5日間取得(年)の義務化がスタートします。ちなみに日本での年間有給休暇付与日数の平均は18日/年程度にはなっています。実際の取得率は50%弱ですので、年間に9日~10日程度は取得している状況にはなります。今回はベトナム労働法で規定されている有給休暇について説明致します。
有給休暇の付与日数については年間12日間以上が基本的な考え方
ベトナム労働法(第 111 条1項 a)に基づきの条文では1年以上勤務した労働者に対しては12日間の年次有給休暇が与えられ、この年次有給休暇は5年毎に1日増加します。1年未満の勤務の場合は、有給休暇は労働期間に比例して算定されます。1年未満勤務の場合には具体的な日数記載は無いですが、月当たりに1日の有給が基本になります。試用期間中も有給休暇は存在します。
その他は上記の有給休暇に加えて、自身の結婚に際して3日、子供の結婚については1日、父母・義理の父母・配偶者・子供の死亡に際しては3日の休暇を有給で取得できます。
また、同条 b)に基づき、重労働・有害・危険な業務を行う者、生活条件が困難な地域で勤務する者、未成年の被雇用者、障害を持つ者には年間 14 日、同条 c)に基づき、特別な重労働・有害・危険な業務を行う者、生活条件が非常に困難な地域で勤務する者には年間 16 日の有給が与えられます。
未消化の有給休暇の処理方法について
在籍時には買取又は繰越の対応が一般的です。買取の場合は平均賃金日当の100%を買取(給料で支払う)します。繰越についてはベトナム労働法上では期間制限は存在しませんが日系企業の多くは繰越期限を翌一年としている場合が多いです。祝日の少ないベトナムでは100%消化を目指して事業運営している場合が多いですし、ベトナム人従業員側も当然の権利との認識もあり、普通に有給申請をして来ます。
日本とは違い有給取得について遠慮は無いので違和感を感じる管理者も多いですが、価値観の差との認識は必要になります。
退職時には労働法第114条の1項によると「従業員が退職するにあたり、すべての有給休暇を消化できなかった場合、従業員はその分を賃金として受け取ることができる」としています。つまり、会社は金銭で清算する義務があります。この買取金額は、直近6ヶ月の労働契約に記載された賃金の平均となります(政令05/2015/NDCP-26条)。そのため退職時期が決定した際には計画的に有給消化するように取り組む必要もあります。
円滑な有給休暇運用について
まず従業員からの有給休暇申請をしやすい環境作りや、申請時には管理者として笑顔で対応頂きたいです。
そもそもベトナムの祝日は年間10日間(テト休暇含む)になり、日本の16日(2019年は17日)と比較すると少ないです。祝日が少ない分有給はしっかり取得してもらうとの考え方を基本にして欲しいです。有給のスケジュールを会社が決定することが可能(社員の意見を聞くことが求められる)です。
最近のベトナム人大卒ホワイトカラーでは海外旅行なども一般的になりつつあり、長期休暇が少ないベトナムでは会社側から連休を提示してリフレッシュ頂いても良いかとも思います。有給が未消化でも罰則規定は無いですが新暦の年末年始、テト休暇・祝日の前後や、GWなど会社から有給消化予定を提示して、消化率100%を基本にしていくこと円満な労使関係が構築できるとは思います。
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