公開日:2018/01/12
ワークライフバランス先進国のベトナム
日本では「働き方改革」が注目され、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進が重要な人事テーマになっています。
日本の内閣府が策定している「ワークライフバランス憲章」では以下3点を目指す社会と定義しています。
1 就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。
2 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。
3 多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
ベトナムでは以下の5つの観点では日本よりも社会がワークライフバランスを推進しており、実現出来ています。ベトナム人の意識が日本人よりも高いとも言えます。
1点目:労働時間管理
良い意味でも悪い意味でも定時で帰宅される方が多いです。日本人上司が残業していてもあまり気にしないで帰宅する場合も多く、就業後に学校、ヨガなどの趣味や、友人との会食、家族と過ごす時間などプライベートを充実させています。オフィスビルなども夜間や休日の入退出を規制している場合もあります。
2点目:有給消化率
ベトナム労働法上では1年以上雇用継続された方について最低でも年間12日間の有給休暇を認めています。有給申請も、あまり遠慮なく当然の権利として取得している方が多いです。家族の誕生日会、親族の集まり、旅行など自己都合でも日本と違い申請しにくいなどの罪悪感など無く気軽に有給消化しています。
3点目:副業や兼業を容認している企業が多い
ご両親が自営業者(家業)の方などは子供として手伝っている場合や、日本語力の高いベトナム人の方は個人で通訳を請負う、日本語の先生として家庭教師などを行っている場合などもあります。ベトナム企業ではあまり、副業や兼業を禁止している場合は少なく、ベトナム大手銀行の副頭取と名刺交換した場合でも別の自営業の名刺を普通に渡される場合などもありました。
4点目:女性の社会進出や管理職が多い
ベトナム人女性は勤勉で良く働くといわれています。2009年のMasterCard Worldwide Index「女性の社会進出度」調査によれば、アジア地域で女性労働人口の割合が最も大きい市場はベトナムであり、男性100人の就業に対して女性は94人という。この結果、結婚しても働き続けるベトナム人女性が多いです。ベトナムに進出している日系企業でも大卒者の場合は英語力や日本語力を求める場合も多く、ホワイトカラーの男女比率では女性の方が高い場合が多いです。
又、企業の取締役に就く女性の割合は30%ほどで、女性のCEOの割合が25%とアジア太平洋地域では最高とも言われています。ご両親との同居も多く、お子様を祖父や祖母に預けて働いている場合が多いです。家計を支えている女性は日本よりはるかに多い印象です。
5点目:子供に対して寛容な社会
世界銀行が発表したベトナムの出生率は1.95(2015年)となっています。日本は1.44(2016年)と比較しても高い数字になっています。
平均年齢も30.4歳(2015年)、日本は46.5歳(2015年)と若い人が多い国でもあります。職場にも普通に幼児を連れて来ている方もいます。お土産ショップなどでもお子様と一緒に接客しているスタッフなどもいます。レストラン、カフェ、小売店等でも子供が騒いでいても嫌な顔をする人もいなく、容認している社会でもあり、家族・親族・地域含めて子供を育てている感じもあります。ベトナム駐在員の帯同している奥様からも日本よりも子供を育てやすいとの意見も聞きます。
以上、まだまだ経済的には発展途上国のベトナムではありますが、日本が見習ったり、学ぶ必要がある事も多数あります。
ぜひベトナム生活を通じて皆さまのワークライフバランスを実現頂ければと思います。