公開日:2020/11/06
ビジネストラックの運用開始。ベトナムへの短期出張は本当に可能なのか?
先日、菅総理が最初の外遊先としてベトナムに訪れました。ベトナムがコロナ抑制に成功していることも要因かとは考えますが、今後日本の外交相手国としてのベトナムの重要性の現れかと思います。そして実際に外遊後の11月1日から短期出張者向け制度であるビジネストラックの適用が日本とベトナムの間でも始まりました。今回は日本対ベトナム、その中でも日本からベトナムへの入国を前提として、ビジネストラック制度についてご紹介します。
「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」とは?
ビジネストラックおよびこの後ご説明するレジデンストラックは「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」として設定されたスキームになります。「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」は、日本政府が2020年の6月に設定した、ビジネスにおいて必要な人材の国際的な往来を、コロナ対策を実施しつつ可能にするための仕組みとなります。それを具体化した制度がビジネストラック、レジデンストラックになります。
ビジネストラックが運用されるより前に、「レジデンストラック」という兄弟分のような制度の運用が7月末から始まっていました。(詳細は弊社コラムでも記載しています:https://919vn.com/column/visa-acquisition-process/)ざっくりとご説明すると、手続き・隔離プロセスを経ることでビジネスパーソンの日本とベトナムへの往来を徐々に可能にするというものです。「往来」と言っても、ベトナム渡航の場合は渡航後に2週間の隔離が必要なことから、基本的にはベトナムへの長期滞在者(駐在員、または現地在住者の家族など)が利用していました。
そして以前から存在はしましたが中々運用ができていなかったのが、今回の「ビジネストラック」になります。レジデンストラックに比べビジネストラックの方が運用が難しく(短期滞在者向けなので、隔離期間の短縮または隔離中のビジネス活動が必要になる)、実際に適用している国は少ないです。※2020年11月5日時点では、日本がレジデンストラックを適応している国が10ヵ国に比べ、ビジネストラックを適応している国はベトナム含め3ヶ国のみ(シンガポール、韓国、ベトナム)。
ビジネストラックとレジデンストラックの違い
レジデンストラック
主な対象:長期(15日以上)滞在者
例:ベトナムにある企業での勤務者(駐在員、現地採用など)、現地在住者の家族など
隔離期間:隔離施設(ホテル)7日間+隔離施設(ホテル)もしくは自宅等で7日間
→以前は政府指定の隔離施設(ホテル)での14日間の隔離が必須でしたが、現在はベトナムに自宅等がある人は、専用車両で移動しそちらで残りの7日間自主隔離にて過ごすことができます。(PCR検査にて陰性であることが前提)
他人との接触:基本的に禁止
ビジネストラック
主な対象:短期(14日以内)滞在者
例:日本などにある企業に所属しておりあくまで出張の形でベトナムを数日間(14日以内)訪れる方
隔離期間:隔離施設(ホテル)にて入国日から出国日まで滞在
他人との接触:事前に申請を行うことで、限定的だが可能
ビジネストラック(ベトナムへの短期出張滞在)運用時の留意点
日本国大使館等のオフィシャルな発表ではビジネストラックの運用は11月1日からですが、その前振り?のような形で9月25日付けのベトナム政府のオフィシャルレターにて、ベトナムに短期滞在(14日未満)するビジネスパーソンに関するガイダンスを発表していました。オフィシャルレターの内容で特に気になるのが「専門家(ベトナムへの短期出張者)と接触する人に関する注意書き」になります。その中では、ベトナムへの短期出張者(日本でいうビジネストラックでベトナム入国した人)と接触した人は、接触日から14日間は他人との接触に制限(つまり自主隔離)が必要、とあります。こちらは日本の大使館等の発表では記載が見つからなかったため、日本の制度とは関係なくベトナム政府側が独自に設定した制度のようです。そのため日本語での資料が見つからず、実際の運用がどうなっているのか、11月1日以降もその制度は継続運用されているのかは謎です。ですがビジネストラック制度を用いてベトナム入国を考えている人は、もし接触者もその後自主隔離が必要な場合は相手側(接触者)への事前通知が必要なため、要注意な点になります。
具体的な手続き等は大使館等のHPをご確認下さい。
(https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/20200731nyuukoku.html#a-5)またHP内の内容は定期的に更新されているので、常に最新情報の確認をお願い致します。