公開日:2018/11/16
ベトナム人事の基本④(ベトナム人スタッフ退職理由の本音)
日系企業の経営者や人事担当者からベトナム人スタッフの定着率についてのご相談は多く頂きます。入社数か月での退職や海外留学するので辞めたい、せっかく育てたリーダークラスなどが賞与支給直後に離職するなど。日本では想定できない退職パターンが多く存在します。本人に理由を確認すると、勤務地が遠い、給料が安いなどわかりやすい理由で離職する場合が多いですが、本音を企業側に伝えている場合は少ない気がします。退職理由は複合要素になり、給料が安いからなど一つの理由では無いです。今回は代表的な6パターンの退職理由を共有します。
1:職場環境や直属上司との相性
上司になる日本人駐在員の帰任と同時に部下のベトナム人スタッフが離職する場合があります。弊社へご登録頂くベトナム人の方に離職理由を確認すると上司への不満が多いです。上司の態度・言動・立ち振る舞いを驚くほど細かく見ています。過去には日本人同士が社内で大きな声で言い合うことが耐えられないなどの理由で離職決断している方もいます。上司が尊敬できない。判断が遅い。中国など他国でのマネジメント手法を押しつけるなど多岐に渡ります。あとはベトナム人スタッフ同士の仲間に入りにくい。出身地が自分だけ違う。逆に社員が少なくて職場がさびしいなど。日本人の退職理由のトップは人間関係ではありますが、ベトナム人も同様の傾向はあります。
2:海外留学や進学のため(20代前半に多い)
日本、オーストラリア、米国、フランスなど海外留学を理由に退職する人はいます。
入社前から計画的に海外留学を行う方もいますが、多くは友人に誘われたなど急なきっかけで留学決断します。日本人よりも長期的な計画をする人が少ない為、入社して半年後に海外留学する方などもいます。ベトナムは単科大学が多く、社会人になり急に卒業した専門学部以外の大学に進学するなど知識欲求が高まる場合などです。
3:結婚や家族都合、起業のため
結婚を機に両親の近くに住みたい。妻(旦那)の実家で家業を手伝うためなどベトナムでは大きな節目になる結婚理由での退職はいます。少ない資本でも起業チャンスがあり急に思い立って起業する人もいます。
あとは医療機関が脆弱なため、ご両親や兄弟の入院などの理由で退職する方もいます。社会人としてご両親や家族を助ける事を最重要に考える傾向があります。
4:給料など条件面での不満
給与・賞与が少ない。昇給幅が小さい。勤務地が遠く時間拘束される。社会保険に加入していない。友人や知人など身近な高待遇な人の条件と比較して決断したりします。ご自身の能力について客観的な市場価値を理解している人は少ないです。
日系企業の昇給ピッチでは同じ管理職でも欧米外資企業と給料だけ比較すると大きな差があります。退職理由で一番確認しやすい事項ではありますが、転職者インタビューやアンケートを分析すると40%ぐらいは前職と給料は変わらないです。あくまで転職理由の一つの要素として条件面になります。
5:仕事内容に飽きる(キャリアップが出来ない)
通訳・翻訳、総務・経理などスペシャリスト採用をしている場合も多く、同じ業務を数年間繰り返しているだけの職場も存在します。新しい業務、適切な負荷が係る業務が無いとどうしでもマンネリ化してモチベーションもダウンしやすいです。日本は定期新卒採用をしている企業が多く、毎年環境が変化して活性化されたり、部下育成などの機会などもあり、組織に健全な代謝が生まれやすいです。社員が増えないなど組織が変化しないとそれだけでモチベーションが下がる点を理解する必要があります。
6:ワークライフバランスが崩れる
育児など家事をしっかり行いたい。趣味の時間や語学学校など続けたい。職位が上がると責任やプレッシーが大きくなり、給与が上がってもやりたくない。給与が良くても仕事がハードすぎる。出張が多いなど、日本人からすると自己本位な理由に思える事もご本人からすると正当な退職理由として主張する方が多いです。拝金志向と思われがちなベトナム人ですが、ご自身のライフスタイルや自由に生きたいなどの欲求に従っている方も多い印象です。
上記1~6の理由が複合要素となり退職決断をしています。
企業側として定着率を上げるためのリテンション施策も重要ではありますが、20代後半までのベトナム人離職理由の多くは自己都合になり予測や防止するには限界があります。
弊社では人材紹介以外にもベトナム人適性検査、採用代行・労務コンサルなども行っています。部下育成や労務管理、採用でお悩みの際はお気軽にお問合せください。
採用をお考えの企業のご担当者様へ