公開日:2022/02/18
ベトナムで働く時に知っておきたい代表的な税金4つ(法人税、所得税、付加価値税(VAT)、外国契約者税)
ベトナムの税制は、難しそうなイメージがありますか?
確かに日本にはない税金もあり、とっつきにくい印象もありますが、実は日本と似ている部分(消費税のような税金、所得税の仕組みなど)もあります。
詳しい計算方法は分からなくとも、現地で働く際にはおおまかな内容は理解しておきたいもの。
今回はベトナムで働く際に知っておきたい、代表的な税金を4つご紹介しますので、ぜひ皆さんの理解に役立てていただけたら幸いです。
法人税
ベトナムの法人税の標準税率は20%です。
(事業内容や設立地域によっては、優遇税率や減免税などの措置もあります)
原則は暦年(1月1日~12月末日)が課税年度ですが、事前承認を得れば決算期を変更することも可能です。
納税義務者は内国邦人と外国法人です。外国法人の定義は以下の通りです。
・外国の法令により設立された法人
・ベトナム国内に恒久的施設を有する
・ベトナム国内を源泉とする所得を有する
法人税の計算式は以下の通りです。
法人税 = 総所得 -(非課税所得+前年度の繰越欠損金) × 税率
※総所得 = 売上 – 控除費用(損金算入可能な費用)+ その他の所得
また法人税に関わる知識として必須の「レッドインボイス(公式領収書&請求書)」については、下記ご参照下さい。
※費用を損金算入させるためにはインボイスが必要になるので、ご注意下さい。
所得税(給与所得税)
所得税の中にも事業所得や投資所得等、いくつか種類があります。今回は最も一般的な給与所得についてご説明します。
課税対象は、居住者(ベトナムに住む人)はもちろん、非居住者でも、ベトナム国内で所得が発生した場合は納税が必要になります。
※注意点として、居住者の場合は所得の源泉がベトナム国内外を問わず課税対象となります。(つまりベトナム国外での所得も課税対象となります。。。)
居住者・非居住者の定義は以下の通りです。
居住者
・1年間の半数(183日)以上ベトナムに滞在する人(暦年(1月1日~12月末日の内、もしくはベトナム入国日から起算して連続した12ヶ月以内)
・ベトナム国内に恒久的ない居所がある人(一時滞在許可証(レジデンス・カード)を持つ、もしくは契約期間が183日以上の賃貸契約をしている(契約名義が個人・法人は関係がない))
非居住者
・上記(居住者)に該当しない人
課税年度は法人税と同様に暦年(1月1日~12月末日)、もしくは新規入国者の場合は入国日から12カ月間になります。
税率は居住者の場合は日本と同じ累進課税制(最大35%。所得金額によって税率が変わります)ですが、非居住者の場合は一律税制(20%)になります。
詳しい税率は下記コラムご参照下さい。
付加価値税(VAT) ※日本の消費税的なもの
付加価値税とは、日本でいう消費税のようなものになります。
標準税率は10%です。(ですが特定のサービス等は0%や5%の税率が適用されます。具体的には、輸出品は0%、生活必需品/サービスは5%など)
注意点としては、社会政策等で税率が変化することがあります。現在(2022年2月)も、コロナ後の経済回復措置として、標準税率が8%に引き下げられています。(特定のサービスは除く)期間は2022年2月1日~2022年12月31日の予定です。
詳細:ジェトロ(付加価値税率を8%に引き下げ、経済回復に向けた時限措置)
おまけ:外国契約者税(FCT)
度々お問合せを頂く、ベトナム特有の税制である外国契約者税についても簡単にご説明致します。
※詳細や計算式は下記コラムご参照下さい。
簡単に言うと、「海外からベトナムに”物品”を売る=関税がかかる、海外からベトナムに”サービス”を売る=外国契約者税(FCT)がかかる」ということです。
(ベトナム法人側が負担する場合を除き)基本的に課税対象は外国企業になりますが、ベトナム法人が外国企業からサービスを買う際は、後々トラブルにならないように事前にご案内しておいた方がスムーズです。
※日本にはない税制なので、そもそも存在を知らなかったというケースも多々あります。
参考資料
・JETRO