公開日:2023/09/29
【2023年9月最新】ベトナム労働法改正に伴う労働許可証申請(ワークパーミット)の条件緩和について
2022年の後半ぐらいから、弊社のお客様(法人の人事担当者)から「労働許可書(ワークパミット)を取得するハードルが高くなっている」、「どうすれば労働許可書を取得できるか」など」ご相談を頂く機会が増えました。
特に、「専門家」、「技術者」のカテゴリーで申請する際には大学の卒業学部とベトナムで就労しようとする職務内容との一致(相関)が厳格化され、当局の担当官によっては日本本社からの出向(駐在員)も申請が滞る事例もありました。
※上記要件は今までの記載されていた事項ですが、指摘される頻度が多くなっている印象。
結果的に今まで労働許可証取得ができていた方でも更新又は新規申請時の際に再取得が困難となり継続して働くことができないケースもありました。
2023年9月18日にベトナム政府は外国人労働者に関する政令第152号/2020/ND-CPの一部を改正・補足する政令第70号政令第70号/2023/ND-CPを公布、即時施行されました。
今回は政令第70号のポイントを説明いたします。
従来のルール
従来のルールでは労働許可証取得申請の際に大学の卒業学部とベトナムでの就労予定の分野との一致が求められており、当該職務に関する日本での実務経験も3年以上が必要でした。
※以下、従来の専門家・技術者の労働許可証取得申請の詳細要件となります。
専門家 | • ベトナムで就労しようとする業務・職位に適合する分野を専攻とする大卒以上(あるいは相当)の学位、およびその専門分野における少なくとも3年の勤務経歴を持つ外国人労働者。 • または、ベトナムで就労する予定の職位に適合する5年以上の勤務経験および職業従事資格証明書を有する外国人労働者。 • もしくは、労働傷病兵社会問題省の提案に基づき政府首相が決定する特別な場合。 |
技術者 | • 技術またはその他の専門分野について最低1年間以上の教育を受け、かつ、その専門分野において少なくとも3年の実務経験を有する者。 • または、ベトナムで就労予定の職位に適合する業務に従事した少なくとも5年の実務経験を有する者。 |
改正後のルール
今回ベトナム政府より発令された政令70では、専門家・技術者の外国人労働者は「教育を受けた専門分野での実務経験」がなければならないという要件の一部が削除され、「ベトナムで働く予定の職位に適合した実務経験」と修正されました。
必須要件だった大学の卒業学部とベトナムでの職務の適合は不要となりました。例えば理系学部や文学部卒で営業職(専門家)としては申請が受理されない可能性もありました。今回の改正後には卒業学部と営業職(専門家)としての合致が無くても日本(ベトナム国外)で営業の実務経験が3年以上あれば労働許可書の取得が可能になります。
法令上は規制が緩和されたとする解釈は成り立ちますが、実際の運用はこれからなのでまだ不確実ではあるとは思われます。
※以下、改正後の専門家・技術者の労働許可証取得申請の要件となります。
専門家 | • 大卒以上(あるいは相当)の学位、およびベトナムで働く予定の職位に適合した実務経験を3年以上もつ外国人 • または、ベトナムで就労する予定の職位に適合する5年以上の勤務経験および職業従事資格証明書を有する外国人労働者。 • もしくは、労働傷病兵社会問題省の提案に基づき政府首相が決定する特別な場合。 |
技術者 | • 技術またはその他の専門分野について最低1年間以上の教育を受け、かつ、その専門分野において少なくとも3年の実務経験を有する者。 • または、ベトナムで就労予定の職位に適合する業務に従事した少なくとも5年の実務経験を有する者。 |
また、技術者の要件につきましても専門家同様、大学の卒業学部とベトナムでの職務の一致は不要となりますが、従来の運用方法でも実務経験5年以上あれば申請可能なので従来と同様の手続きとなるかと考えられます。
労働許可証免除申請について
(ⅰ)営業許可書がある外国弁護士、(ⅱ)ベトナム居住かつベトナム人と結婚した外国人の
2つの場合は、外国人労働者の使用計画確定の申請手続きが不要になった。
※上記(ⅱ)の場合、これまでは労働許可証の免除報告を実施していたが、政令70では労働許可証の免除申請を実施する。
労働許可証更新後に同職位で申請する際の規定の補足
専門家・技術者の外国人労働者が一度労働許可証を更新し、引き続き同じ職位で働く場合は、「特例ケース」としての申請が適用される。この場合、申請書類のうち無犯罪証明書と専門家・技術者の証明書類が免除される。
まとめ
・労働法上は今回の条件緩和により申請手続きはしやすくなるかとは思いますが、現状は実例が少ない為、当局へ確認いただくことをお薦め致します。
・最近では労働許可書を自社で直接申請するのではなく、ベトナム資本の「申請代行業者」などに手数料を支払い進めた方がスムーズに進む場合も多いです。
・弊社クイックベトナムではベトナムの法律事務所と業務提携をしており、労働許可書申請でお困りの際はお気軽にご相談をお待ちしています。