公開日:2022/01/28
【海外転職情報】現地採用と日本国民年金
現地採用として海外で働く際、気になるのが日本の税金・年金・保険等かと思います。
国民年金に関しては、結論から言いますと、「加入(納付)・脱退(納付をやめる)・加入はするが納付を先延ばし(納付猶予申請をする)」の3パターンがあります。
以下、3パターンのメリットやデメリット、注意点も含めてご紹介します。
※制度変更や、過去の納付歴・世帯構成や収入状況によって変化がございます。実際の手続きの際は国民年金事務所や各管轄役所へのご相談をお願い致します。
そもそも国民年金とは?なぜ海外転職者が悩むのか。
国民年金の概要は以下の通りです。
「日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方はすべて国民年金に加入することになっています。」
参照:日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/faq/kokunen/seido/kanyu/20140116.html)
日本に在住・就職している際は悩まないのですが、上記に「日本国内に住んでいる」とある通り、現地採用(海外転職)で海外に長期滞在する予定で住民票を抜いた方は、加入が「義務」ではなく「任意」になります。
パターン1 任意加入をして納付する
日本国籍の方であれば、任意で加入することができます。
手続きについて
任意加入を希望の際は、ご自身で、お住まい(既に住民票がない方は、日本国内の最後の住所地管轄)の市区町村窓口で手続きをします。
納付方法
①日本国内にいる親族等が代わりに納める
②日本国内のご自身の銀行口座から引き落とす(引き落とす期間も選択肢があります)
③クレジットカード払い ※利用できるカードに規定がありますが、VISAやMasterカードなど有名なブランドはokのようです。
(参考:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/creditcard.html)
メリット
①国内在住の被保険者と同様、納付機関に応じた老齢基礎年金を受け取ることができる。
②海外在住期間に病気やけが・死亡した際も、遺族基礎年金や障害基礎年金の支給を受けられる
デメリット
①納付が困難になった際や、支払い期間(半年分前払い、2年分前払いなど)・方法を変更したいなど手続きをする際、基本的に日本国内の親族等に手続きをサポートしてもらう必要がある。
②当然なのでデメリットと言ってよいか分かりませんが、年金の納付(月額1.6円ほど、年間で約20万円※年度によって変更有)が必要です。
パターン2 国民年金から脱退する
国民年金に「任意加入」している際は、納付免除や納付猶予(いったん納付を保留し、後で納付する)ことができません。
そのため納付をしない(できない)場合は、次のパターン3の手段か、脱退(喪失)する必要があります。
注意点
国民年金から脱退している期間については、後から納付(追納)することができません。(2022年1月現在)
そのため、脱退期間が長引くと、将来の受給金額が減ってしまいます。
その場合は、下記の「任意加入制度」の利用が候補に挙がります。(パターン1の任意加入とは異なります)
任意加入制度について
概要は以下の通りです。
「60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入をすることができます。」
(参照:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140627-03.html)
つまり、脱退していた期間の追納(例:28歳~30歳の3年間分を後から納付)はできませんが、60歳以降に任意加入をして納付金額を増やす(例:61歳~63歳の3年間に納付)ことはできます。
パターン3 納付猶予を申請する ※住民票を残し、日本での所得がない(又は低い)場合
この場合は、住民票を日本に残し、日本での所得がない(又は低い)ことが条件になります。
日本の住民票を抜いた場合は、パターン2で記載した通り、納付猶予の申請はできません。
この場合は免除ではないので、後に追納しなければ、需給金額が減ることに変わりはありません。
メリット
①猶予期間については後から納付(追納)できる
デメリット
①住民票を残す必要があるため、住民税の支払いが発生する
(前年度の日本での所得が一定額以下の場合は、免除の可能性があります。管轄の役所にご確認下さい)
②上記同様、国民健康保険の支払いが発生する
(こちらは日本で所得がない場合も一定額負担します。世帯やお住まいの地域で変化します。目安としては、無収入で一人暮らしだと1,500~2,000円弱/月ほど)
現地採用として海外で長期勤務する際は、ご自身で年金や税金について対応を考える必要があります。
また手続きは時間がかかったり、海外からは対応が難しかったりするケースも多いので、早め早めに情報収集・準備を進めて頂けたらと思います。